<1>童謡のふしぎ アレ、コレ
@「七つのこ」の七つとは?
☆七つのこ
作詞:野口雨情 作曲:本居長世
からす なぜ鳴くの からすは山に
かわいい 七つのこが あるからよ
かわい かわいと からすは 鳴くの
かわい かわいと 鳴くんだよ
山の 古巣へ 行って見て ごらん
まるい 目をした いいこだよ
さて、誰でもが口ずさめる知名度抜群のこの「七つのこ」、全身真っ黒で、ゴミあさりの名人で、不吉で嫌われ者のカラスが実に可愛らしく歌われています。
一体“七つ”とは、巣の中にいる七羽のヒナのことでしょうか、それとも七歳のカラスでしょうか?
大正10年に童謡集に発表され、その時の挿絵も巣の中に七羽のカラスが描かれましたので、何の疑いも持たず七つは七羽のことと思ってしまいます。
ところが、カラスは普通2個から多くて3個の卵しか生みません。
では、年齢?とも思いますが、カラスの平均寿命は長くて5年半、厳しい自然界で大半は一年後の繁殖期まで育たないといわれています。
ではどうして可愛い目をしたいい子だよ・・・となっているのでしょうか。
昔は、今のように医学が発達していなかったため、幼い子供の死亡率が非常に高かったのです。
3歳まで生きられた、5歳まで育った、7歳を無事に迎えられたという喜びとお礼参りが七五三という行事を育んできました。
当時の数え年では七歳は今でいう六歳、五歳の子も含まれますからまだまだ幼い可愛い子という感覚になります。
七歳にもなると抵抗力もついて、余程のことがない限りすくすくと育つ安心感があります。
野口雨情は、この「七つのこ」に、人間の七歳の子をダブらせて書いたと伝えられております。
そう、「七つ」には七五三の風習が隠されていたのです。 (童謡の謎 著:合田道人 より抜粋)